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カシオペアの風
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カシオペアの風

野里征彦【著】

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カシオペアの風

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 三一書房/三一書房
発売年月日 2006/11/15
JAN 9784380062100

カシオペアの風

¥1,760

商品レビュー

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2012/03/07

ホームレス 突然社会からはみ出してしまったことに気付き 家族を岸に放り投げて沈み込んで行く取り残された人間 総合的な誰かに操られた人生 その誰かは結局自分なのかも知れない 景気や圧力によって翻弄される人間達が家を失いあるいは放棄して 吹き貯まる憩いの隙間 すべて...

ホームレス 突然社会からはみ出してしまったことに気付き 家族を岸に放り投げて沈み込んで行く取り残された人間 総合的な誰かに操られた人生 その誰かは結局自分なのかも知れない 景気や圧力によって翻弄される人間達が家を失いあるいは放棄して 吹き貯まる憩いの隙間 すべてが占領された地球上にも 杭と杭の隙間にまだ憩えるシワが残っているらしい 人の心の底で居座っている優しさという本質が 物質至上主義に染まって歪みながらも そのシワを消すことを許さないのだろう 外に向いてしまったプライドも 正義感や優しさを引き留めることができる 強い意志を見付け出した者ほど敏感になり矛盾を重く感じて苦しむ その結果括りの少ないシワを探して流れ着く 怠け者や弱み死になった者も多いけれども それだった先天的なものだとは言えない それぞれ押し付けられたり望んだりして 辛い原因を抱えてたどり着いたのだろう 中には強すぎるが故に自ら世捨て人を選んだ豪傑もいる いわば公園と言うシワを深山の洞窟に見立てた 現代的な仙人であるとも言える この物語の主人公はDNAと言う藁にすがることで 植木屋さんとして静かに社会復帰する そしてこのシワで暮らすプロセスで笑みを再発見して死んでいく 本当の弱虫は自分を見失いモノに依存している裸の王様だ 地球上のすべてに綱を張り・旗を立て・私物化することでかろうじて安心を保つ 価値を一律化して人々を整列させようと躍起になって企てる ふと中国の紅衛兵は今 年老いてどこに隠れているのだろうと思う 彼らこそ弱虫の代表だろう その黒幕だった毛沢東達は ヒットラーなど足下にも及ばないほどの弱虫だったのだろう 彼らこそ最悪の被害者なのかも知れない

Posted by ブクログ

2011/01/24

p.88  だが果たしてあれは充実した生活だったのだろうか。確かに景気が良く流れに乗ったときはかなりの収入があり、今のように他人から蔑視されるということもない生活だった。  けれども心のどこかに絶えず満たされない気分がわだかまっていたことも紛れもない事実であった。現状に満足できず...

p.88  だが果たしてあれは充実した生活だったのだろうか。確かに景気が良く流れに乗ったときはかなりの収入があり、今のように他人から蔑視されるということもない生活だった。  けれども心のどこかに絶えず満たされない気分がわだかまっていたことも紛れもない事実であった。現状に満足できず、いま以上にもっとまとまった金を作って、いつか現状から逃れたいという気持ちが常に宿っていたことを忘れてはいない。  こんな仕事はどこか間違っていると、心の隅っこの方でもう一人の自分が絶えず叫んでいたのだ。  あの時の自分は、いま以上に家族を愛していただろうか。妻にやさしかっただろうか。他人にたいして、今よりやさしい人間らしい気持ちを持っていただろうか。 p.242 ここに居る連中の半分くらいはよ。別に怠けたわけでもなく働く気持ちがない訳でもねえんだ。骨が曲がるほど働いてきてよう。気がついたらもう働けないほど歳をくってたとか、病気をして身体が言うことをきかなくなっていたとか、そういう連中が多いんだ。中には運悪く、思いもかけねえ穴ぼこに落ち込んでしまったという奴だっている。とにかくそうやって食い詰めた連中がよう。生活扶助を受けてえって役所の窓口に行ったって、まず受けることなんざできねえんだよ。面倒くせえ手続きだの小うるさい決まりだのを振り回しやがってよう。福祉の窓口にいる役人てのは、まるで福祉を受けに来るやつを、撥ね付けるのが仕事だと思ってやがるみてえでよう。福祉なんてのは本当はよ、困ったとき胸えはって受け取れるものじゃねえのかい。ところが都の、落ちぶれた人間を軽蔑するようなトップの姿勢がよお、末端の小役人にまで染み込んでいやがるもんでよう。

Posted by ブクログ

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