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「分かりやすさ」の罠 アイロニカルな批評宣言 ちくま新書
792円
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房/筑摩書房 |
発売年月日 | 2006/05/10 |
JAN | 9784480063021 |
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「分かりやすさ」の罠
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商品レビュー
3.8
15件のお客様レビュー
「アイロニカルな批評」ということで、アイロニーそのものについて、最初から最後までじっくり書かれているのかと思ったらだいぶ違った。 この辺りはこの著者のいつも通りという感じで、安心してページをめくることができる。 しばらく二項対立の話が続き、二項対立というのはわかりやすさMAXな...
「アイロニカルな批評」ということで、アイロニーそのものについて、最初から最後までじっくり書かれているのかと思ったらだいぶ違った。 この辺りはこの著者のいつも通りという感じで、安心してページをめくることができる。 しばらく二項対立の話が続き、二項対立というのはわかりやすさMAXなのだけど裏表の関係になる問題がある、というあたりでアイロニー臭が少し漂う程度。 この二項対立や弁証法について、「この先に正しいものが存在する」という自身の正義を思い込みと指摘したり、「誰もが二項対立のどちらかの側に存在するはず」という根拠のない安心感を得たいとする衝動について、哲学/哲学史の視点から書かれていて、哲学が正直よくわかっていない自分が読んでもおもしろかった。心理学だとこのあたりは白黒思考とか防衛機制とかの(なんとなく科学的に思える)説明で終わってしまうので、ちょい物足りないと感じていたので満足できた。 あと「過ぎ去りゆく自然の後を追いかけるものとしての芸術」というのはニールヤングを思い出したわ。
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「右」対「左」のような分かりやすい「二項対立」の図式に陥ってしまうのはどうしてなのか、そして、「批評」ないし「評論」と呼ばれる営みの役割はいったい何なのかという問題を考察している本です。 もともと現代思想は、こうした二項対立の図式をズラす戦略を編み出してきました。二項対立の発祥...
「右」対「左」のような分かりやすい「二項対立」の図式に陥ってしまうのはどうしてなのか、そして、「批評」ないし「評論」と呼ばれる営みの役割はいったい何なのかという問題を考察している本です。 もともと現代思想は、こうした二項対立の図式をズラす戦略を編み出してきました。二項対立の発祥は、プラトンがイデアの永遠性に基づいて提出した霊/肉二元論にまで遡ります。またヘーゲルは、「霊」すなわち主体と「肉」すなわち客体との対立が、弁証法的なプロセスを経て統合されると考えました。ところで、ヘーゲルの哲学においては、自己自身の哲学的理論体系と、当の体系が過去の諸体系とどのような相互関係にあるのかというメタ理論とが、明確に区別されることなく結びつけられていました。そのために、こうしたヘーゲルの哲学理論の中核にある「絶対精神」を批判する試みは、メタ理論の部分でヘーゲル哲学を補強する結果に陥ってしまうことになります。著者は、こうしたヘーゲルの弁証法的理論の呪縛を逃れようとする、ベンヤミン、アドルノ、デリダの試みを紹介しています。 さらに著者は、ベンヤミンの『ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念』以降再評価されているドイツ・ロマン主義の「アイロニー」の戦略を紹介します。シュレーゲル兄弟やノヴァーリスは、文学的な創作活動をおこなう「主体」はみずからの「意図」を完全に把握することは不可能であるという立場から、主体の意図が作品の展開の中でズレてゆくことや、主体としての「私」の中にエクリチュールを介して他者の意図が入り込んでくることに着目しました。彼らは、そうした意図を超えたところで働く詩的想像力を、「超越論的ポエジー」もしくは「ロマン主義的ポエジー」と呼びます。そしてそれは、つねに「生成」の途上にあって「完結」することがないと考えられています。「批評」とは、まさに作品の「批評」という当の営みを通じて、詩的想像力の「生成」に加担する営みのことにほかなりません。著者は、こうしたドイツ・ロマン主義の「批評」概念に見られる、みずからの思想が事後の反省によって新たに捉えなおされる可能性に対して開かれているという意味での「アイロニー」のスタンスを見なおし、その可能性について語っています。
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予想外に(?)骨太な西洋哲学史でした。 現代思想をデカルトからかたりおこすのはよくありますが、(西欧の)二項対立的思考法のルーツをプラトン主義(!)にまでさかのぼる見かたというのは、私にとっては発見でした。 それでも抜群によみやすい。 いま同時に読んでいるほかの本とひびきあう部...
予想外に(?)骨太な西洋哲学史でした。 現代思想をデカルトからかたりおこすのはよくありますが、(西欧の)二項対立的思考法のルーツをプラトン主義(!)にまでさかのぼる見かたというのは、私にとっては発見でした。 それでも抜群によみやすい。 いま同時に読んでいるほかの本とひびきあう部分もあって、愉悦につつまれる読書体験でありました。
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