キェルケゴールを学ぶ人のために

大屋憲一(編者), 細谷昌志(編者)

• 販売会社／発売会社: 世界思想社
• 発売年月日: 1996/10/30
• JAN: 9784790706281

商品レビュー

2013/12/26

「人と思想」「方法論と視点」「人間存在論」「時間論」「信仰論」「社会論」の６つの観点から、キルケゴールの思想を紹介している。

「方法論と視点」の章は、「逆説弁証法」「イロニーとフモール」「間接的伝達」の３つの項目に分けられている。「逆説弁証法」に関しては、キルケゴールがヘーゲル弁証法の中心原理を「包摂」と理解し、それを批判することによって、「あれか、これか」という鋭い逆説から信仰の立場への移行を語ったことが紹介される。また、「間接的伝達」に関しては、キルケゴールの著作が、主張内容を誰にとっても成り立つような客観的真理として直接提示するのではなく、そこで扱われている問題を読者自身がみずからの問題として引き受けることをめざして書かれていたことが、『哲学的断片への結びとしての後書き』と『わが著作活動への視点』の２作について確認する論考になっている。

入門書としては、かなり読み応えのある内容の本だと思う。