いにしえの少女バルイェット

パトリシアライトソン【作】, 百々佑利子【訳】

• 販売会社／発売会社: 岩波書店/
• 発売年月日: 1992/11/12
• JAN: 9784001155273

商品レビュー

2019/06/02

　　　　　作者より
　〈バルイェット〉の伝説は、ミセス・エセル・ハッセルによって、１８８０年第二採録されました。その原稿はＣ．Ｗ．ハッセル氏が『たそがれの友だち』というタイトルのもとに、１９７５年に出版しました。
　これはバルイェットの物語です。ジョーのでも、テリー、ランス、あるいはケヴィンの物語でもなく。
　物語の展開と終わりは、むろん私の創作です。もっと広く知られている伝説もありますし、それほど感動的ではないものもあります。しかし多くの伝説の登場人物たちどうよう、バルイェットは永遠に若いままです。バルイェットの物語に、終わりはありません。

兄弟はテリー（14）とランス（19）、幼な子はケヴィン。〈賢い女〉はミセス・ウィレット。少女はジョー・マレー。

　ミセス・ウィレットは山のふもとで数日キャンプし、部族の豊穣の地の手入れをするつもりだった。〈賢い女〉は、そのやり方を知る最後の人だった。小さいころ子守をしてもらっていたジョーは彼女がキャンプする地が同級生の男の子が遊びに行っているはずの「トリケットの泉」の近くだと知っていたので、隠れて彼女の車に乗り込んだ。ケヴィンは岩石の採集に来た両親に連れられて。こうして集まった人たちが「山に棲む悲しみ」バルイェットに出会うことに。

　ちょっと，わがままで見栄っ張りな少女が、ちょっと気になるクラスメイトの気を引くつもりで、最近疎遠になっていた、隣のおばあちゃんの「仕事」にこっそり便乗し、「危ないので、言いつけを守る」という約束を軽く見て、危ない目に遭う。年寄が昔のしきたりや言い伝えなどの、何故を省いて、ただ、してはいけない、とか、こうしろ、とか言っても、なかなか理解してもらえない、とか、危機感が伝わらない感じが、今時というか、じれったいというか。相互理解は難しいです。