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八十歳のアリア 四十五年かけてつくったバイオリン物語
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ネスコ/文藝春秋 |
発売年月日 | 1992/07/05 |
JAN | 9784890368365 |
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八十歳のアリア
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八十歳のアリア
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商品レビュー
4.5
5件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
なんつーか、スゴいじいさんだ。しかしこれだけ何でもできる人が、「山田耕作へのファンレターに返事が貰えなかった」ことを延々と愚痴っているのがおかしい。渡米して「紙パックの牛乳の開け方がわからなかった」ってのが、何気に当時のリアルな国力の差を語ってて切ない。 今更だけど『逆転の発想』も読んでみよう。 60歳を過ぎてバレエを始めたのもスゴいが、何より称賛に値するのは、1年3ヵ月かけて、足を耳の高さにまで上げられるようになったことだ。こういう地味な努力ができるってのが、最早1つの「才能」だと思う。
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一般の人ならば「なんでストラディバリウスはいい音が出るの?」と聞かれたら、多くの人はこう答えると思う。「だってストラディバリウスだからじゃないの?」 でも、「経験と勘に頼らずに、サイエンスを唯一の武器としてバイオリンを製作する」と著者・糸川英夫さんが書いたことで、いい音が出るバイ...
一般の人ならば「なんでストラディバリウスはいい音が出るの?」と聞かれたら、多くの人はこう答えると思う。「だってストラディバリウスだからじゃないの?」 でも、「経験と勘に頼らずに、サイエンスを唯一の武器としてバイオリンを製作する」と著者・糸川英夫さんが書いたことで、いい音が出るバイオリンを作るための理論や法則が科学的に定まっていたわけじゃないことに気づかされた。 科学者としてバイオリンにも科学的定理を見いだそうとする発想自体は至極真っ当だと思うけど、数百年をかけて製作者や演奏者や聴く者それぞれに一定の評価が定型的に存在するにもかかわらず、それをいったん棚に上げ、1からアプローチしようとするのだから、当然この本では「言うは易く行うは難し」というのをはるかに超えるレベルの試行錯誤が次から次へと現れる。 この本では何十年もかけ、糸川さんが自分の思い描いたバイオリンを作ることができたかどうかの結果までが書かれているので、それに対して「バイオリンってそんなもんじゃない」みたいに結果だけで評価するかのようなネガティブな感想も見られるけど、私は別の角度からこの本を楽しんだ。 -「これって『さまざまな謎や疑問を徹底的に究明する』っていう、あのテレビ番組と同じじゃないの?」 そう、糸川さんの徹底的なこだわりや、失敗にもくじけずひたすら前を向き続ける愚直なまでの姿勢は、まさに「探偵!ナイトスクープ」。 視聴者からの依頼を受けて、それが一見ばかばかしいような内容でも真剣かつ懸命に取り組むことで、笑いあり、挫折あり、涙ありの連続となり、その結果、成功しても(逆に失敗であっても)探偵と依頼者とそして多くの視聴者とで感動を共有できるというところが一緒だと思う。(私のような関西人にとっては「笑いあり」が特に大事。でも作為やあざとさが少しでも見えたら笑いはしぼむ。真顔でやるから笑えるというのが重要。) 糸川さんの三歩進んで二・九歩下がり、それでも正直にバカがいくつも付くかようなバイオリン製作への挑戦を読めば、西田局長もさぞや大泣きするだろうと思わせるくらい面白かった。
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秋なので、やたらと心に沁みました。字が大きくてすぐに読めます。 どうせ死ぬのに、何のために生きるのかと学生の時から考えていたそうです。級友が一人青酸カリで自殺しました。「何のために生きるか発見するために生きる」という名言を授けてくれた先生もいたそうですけど。 その彼の紆余曲折と、...
秋なので、やたらと心に沁みました。字が大きくてすぐに読めます。 どうせ死ぬのに、何のために生きるのかと学生の時から考えていたそうです。級友が一人青酸カリで自殺しました。「何のために生きるか発見するために生きる」という名言を授けてくれた先生もいたそうですけど。 その彼の紆余曲折と、45年経て完成したバイオリン。 生きる理由なんて見つからなくて、とりあえず親とか子供とか、死なない理由があれば自分の生きる理由を棚上げにして。棚上げにした代わりに近くにずっとあったものが、人生の結果として僕の影響を受けてそこにある。自分もそこから影響を受けていて、自分がそのために生きてこれたような、最初そんなことは少しも思っていなかったはずなのに。 そんな人の人生の不思議をまとめた、論理の人が自分の不得手な感情と感覚の機能を使って荒削りに、自分を生かしていたものの真ん中にあった何かを書いた本。 ・「敗戦の宣告」によって、生の意義を奪われてしまった僕にとって、このバイオリンは、「自殺から僕を救ってくれたバイオリン」だ。一人の人間には、ひとつの命しかない。それと同じで、命とひきかえに誕生した楽器だから、たったひとつしかこの世に存在しないのである。 ・僕がつくったバイオリン”ヒデオ・イトカワ”号は、「メニューインという神が弾いた」というひとつの神話を出発点として、これから独り歩きをはじめてゆくことだろう。 これで、僕がバイオリンをつくった物語は終わりである。 四十五年かかってバイオリンをひとつつくりながら、僕は生きてきた。僕は、”ヒデオ・イトカワ”号の音を聴くたびに、ほんわりと幸せな気持ちになる。生の日々がどんなに辛く苦しくとも、僕たちはバイオリンの美しい音色とともに、生きていけるのだ。
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